けりかの草子

ヨーロッパ在住歴24年、現在英国在住のバツイチ中年女がしたためる、語学、社会問題、子育て、自己発見、飲み食いレポートなど、よろずテーマの書きなぐり。

娘の4歳の誕生日〜パーティー編⑥ ー 注:これは今年6月に他のメディアに投稿した記事のリサイクル版

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*写真は近所のスーパーにも置いている既製品のケーキ

 

 

この娘のお友達のパーティーは実にレベルが高かった。かなりお高めのパーティー料金なのだろうと思っていたが、受付で入手したパーティープランのパンフレットを見ると、私たちの会場より1ポンド程度高いだけであった。恐れていた通り、娘はこの会場にすっかり魅せられ、自分のお誕生日会もここでしてくれとねだり出した。テーマ別のパーティールームのひとつがディズニープリンセスものであることもしっかりチェックしていた。わが娘ながら実に目ざとい。お友達のパーティーが終わって帰宅する車の中で、娘はこの会場で開く自分のパーティーの計画を延々と語った。

 

ディズニープリンセステーマのお誕生日パーティー」という点に関しては条件を満たしている。だが、会場はすでに行きつけの屋内遊び場に決まっていて、デポジットも払ってある。このデポジットはキャンセルしても戻ってこないし、招待状もすでに発行済みだ。がっかりさせたくはないが、今更会場変更などできない。「XXちゃんと同じとこで私のパーティーやるのよね!でもプリンセスルームよね!ケーキはプリンセスがいっぱいのっかってて、ピンクで真ん中に白雪姫が立ってるのがいい!お友達もみんなプリンセスのドレスを着るの!」(注:実際のセリフは英語)とはしゃぐ娘に、「さあ、どうかな?お楽しみに!」(注:私の返事は日本語)と誤魔化すしかなかった。

 

娘のパーティーの参加者数を正式にコンファームしたのは、イベントの4日前のことだった。会場から確認の電話がかかってきたのだ。最初に予約を入れてデポジットを払ったとき、ケーキも注文することができるとのことだったので、ずっとそのつもりにしていた。手作りケーキは誕生日の当日に焼いて保育園に持って行くと公約していたから、2度も自分を追い込むつもりは一切ない。ところが、参加者数をコンファームした際にケーキを注文すると、手遅れかも知れないと言われた。通常、土曜日に開催されるパーティーのケーキはその週の月曜日までに注文しないといけないとか。これには愕然となった。

 

そんなことは予約時に聞いていない。会場のカフェテリアで売られている「普段用」のケーキ類のように調理場のシェフが作るのだと思い込んでいたが、実はバースデーケーキは業者に外注しているのだという。業者といってもベーカリーやケーキ屋さんではなく、本業は外科医の女性なのだそうだ。驚きの発見にうろたえた。電話口の担当者は、その「業者」に今から注文しても土曜日のパーティーに間に合うか問い合わせてみると言う。「なんとかお願いしますっ!!!」と私は切羽詰まった声で訴えた。

 

ただでさえご指定の会場ではないという大きなハンデがあるのに、ケーキでさらに娘を落胆させるわけにはいかない。最悪の場合は近所のベーカリーかスーパーで出来合い品を購入ということになるだろうが、この辺のベーカリーやスーパーで販売されている既製のバースデーケーキは、人工着色料が大量に使用されていそうな派手な色のアイシング(しかも恐ろしいほど甘い)に覆われ、えげつない量の人工甘味料と保存剤が入っていそうなジャム系のフィリングがサンドされたかなり硬めスポンジケーキかチョコレートケーキが主流だ。父親同様チョコレートに目がない娘だが、不思議なことにチョコレートケーキは嫌がる。ロンドン市内なら、もっとナチュラルでヘルシーな原材料を使ったオシャレなケーキも見つかるだろうが、ここアスコット近辺でそのようなものを見かけたことはない。

 

ケーキが土曜日に間に合うかどうかは翌日に連絡するとのことだったので、私はすがるような思いでその日一日を過ごした。

 

続く

娘の4歳の誕生日〜パーティー編⑤ ー 注:これは今年6月に他のメディアに投稿した記事のリサイクル版

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*写真はこのグレードの高いお誕生日パーティーでの1シーン

 

エルサに誘導されて、私たち3人は娘のお友達のパーティーグループのために確保されている長テーブルへ向かった。娘はお友達を見つけると、大急ぎで靴を脱ぎ(ジャングルジムフレーム内は土足禁止)、わーッと歓声をあげてフレームの方へ駆けて行った。


夫と私はバースデーガールのお父さんを見つけると、招待してもらったお礼を述べた。バースデーガールがフレームから戻ってきたので娘を呼び戻し、プレゼントとカードを本人に手渡すように促した。


プレゼント進呈式が終わると、子供たちは一目散に再びプレイゾーンへ駆けて行った。それにしても、なんて大きな屋内遊び場だ。フレームそのものの大きさは私たちの会場より少し大きいぐらいだが、その周囲に様々なコーナーがある。座って足でこぐプラスチック製の車のコーナーには、パトカーや消防車、救急車、タクシーなどがある。娘は仲良し3人組とここで長いこと遊んでいた。フレーム内の大型滑り台も私たちの会場のものと同レベルだが、その横にはほぼ垂直と言える勾配の超高速滑り台もある。これには夫も興味をそそられたようで、はりきって試しに行った。


私は他のお友達のお母さんたちと、カフェオレを飲みながら世間話で盛り上がった。超高速滑り台のトライアルを無事に遂行した夫は、このどデカいプレイセンターを探索し、えらく感心した様子でその結果を報告しに来た。私たちが座っているプレイゾーンのカフェエリアの奥に、テーマ別のコスプレルームが6室ぐらいあるとのことなので、私も視察しに行ってみることにした。


すると確かに、プリンセスルームや海賊ルーム、病院ごっこルーム、キッチンごっこルーム、警察官&消防士ルームなどがあり、それぞれのテーマに沿ったコスチュームと小道具がかなりの数揃っている。さらに、これは6歳児以上が対象のようだが、Wiiっぽい全身駆動型ビデオゲームルームもある。凄い。至れり尽くせりだ。


気がつくと、娘と数名のお友達がプリンセスのコスプレに興じていた。男の子たちは自然と海賊ルームか警察官&消防士ルームに行く。親にそのように仕込まれたわけでもないのに、本能的に女の子と男の子では興味の対象が異なる。私たちも、娘が女の子だからといって、プリンス系やピンク色の衣服やおもちゃを勧めていた覚えはないのに、本人はプリンセスとピンクにどっぷりだ。


1時間15分ぐらい経つと、エルサとオーロラ姫が私たちのテーブルに戻ってきて、子供たちを集合させてくれと言った。広大な施設なので全員を集合させるのに少し時間がかかったが、皆が揃うと2階(日本式)のパーティールームへと誘導された。私たちのグループのパーティールームは、下の階から階段で上がって一番最初の部屋だった。


縦長の部屋には長テーブルと低いプラスチック製の椅子が設置されており、部屋中が『アナ雪』のテーマで装飾されている。バースデーガールの席は、雪の結晶が描かれた透明のプラスチック製の王座。紙製のお皿にも、壁紙にも、もどきではない本物のエルサとアナが描かれている。やはり女の子向けであるためか、クリストフやオラフの姿があまり見られない。天井を見上げると、白やシルバーの雪の結晶やクリスマスツリーのデコレーションのようなシルバーの玉があちこちからぶら下がっている。子供たちも保護者も感嘆の声をあげた。


さらによく見ると、部屋の奥にアナとエルサのコスチュームがずらっと衣装ハンガーラックに並んでいる。しかもこのハンガーラックは、4~5歳児の身長に合わせた高さだ。細かいところにまで気遣いが感じられる。子供たちに給仕された食事は、フライドチキン、ソーセージ、ハムサンドウィッチ、フライドポテトだった。給仕しているエルサとオーロラ姫を数名のお母さんたちが手伝い、子供たちに飲み物を与える。


暖かい食べ物の後はお菓子のサービス。カップケーキとビスケットが出てきた。そして本日の目玉商品のバースデーケーキ。ホワイトとターコイズ色のアイシングが施された大きな丸形のケーキの上に、プラスチック製のエルサのフィギュリンが載っている。これは、この業界で定評のあるBullylandというドイツのメーカー製のもので、娘も全くおなじエルサのフィギュリン以外にも数多くのディズニーキャラクターのフィギュリンを持っていて、お風呂の友になっている。このケーキはバースデーガールのお母さんが手作りしたそうだ。凄腕すぎる。夫と私は、2週間後に控えた娘のパーティーを思い、プレッシャーが全身にこみ上げてくるのを感じた。

 

続く

娘の4歳の誕生日〜パーティー編④ ー 注:これは今年6月に他のメディアに投稿した記事のリサイクル版

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*写真は私が利用したパーティーグッズ専門ネットショップから拝借。だが写真のものを注文した訳ではない。

 

子供の誕生日パーティーを計画するにあたって重要なのは、会場選びと招待する子供たちの人選、そして来てくれた子供たちに渡す「パーティーバッグ」なのだと夫に言われた。しかも、その中身でホストである一家の格式を判断されると言う。まるで結婚式の引き出物ではないか。高価すぎてもいけないし、安物ばかりでもいけない。もらって迷惑なくだらないおもちゃも避けるべき。キャンディーなどのお菓子も少し入れた方がいい。私は会場のパーティープランにパーティーバッグも含まれているからそれでいいのではと思っていたが、夫は中身を前もって確認し、場合によっては自分たちで選んだグッズを追加するべきだと主張した。


会場に問い合わせて確認すると、塗り絵やシール、工作セットとキャンディーとのことだった。夫が納得していないようだったので、パーティーグッズ専門のネットショップをチェックしてみることにした。日本では知らない人も多いかもしれないが、ウイリアム王子を射止めたあのケイト妃の両親は、パーティーグッズの通信販売ビジネスで富を築き上げた。起業する前は2人ともブリティッシュ・エアウェイズの社員だった。私は昔から、たかがパーティーグッズの通販でなんであんなに金持ちになれるのか不可解に感じていた。だが、こうして自分が子供のパーティーを企画する身になってみると、確かに需要がかなりあるということに気がついた。


だが、私はケイト妃の両親のファンではないので、彼らのネットショップはチェックしなかった。なかなかいい感じのネットショップを見つけたので、そこでパーティーバッグ用の品をいろいろと物色してみた。子供たちの年齢を考慮し、親の視点からも子供の視点からでもウケそうなものを見つけるのは簡単なことではない。自分なりにいいなと思ったものを選択し、念のために夫にも見せてOKを得てから注文した。


実は、娘のパーティーの2週間前に、大の仲良しのお友達のパーティーに招待されて行ってきた。この子の両親も、私たちと同じように屋内遊び場を会場に選んでいたが、そこは今まで私たちが行ったことのない場所だった。招待状には、「Frozen Kingdom」テーマのパーティーと書かれており、『アナ雪』を真似しているのが見え見えのキャラクターが描かれていた。私たちの会場より少し遠い。初めて行く場所だったので、事前にホームページをチェックしてみた。すると、私たちが住んでいるバークシャー州で最新かつ最大規模の屋内プレイ&パーティーセンターと誇らしげに書かれていた。しかも、テーマ別のパーティールームが8部屋もあるとか。これは凄い!


パーティーの当日、iPhoneのナビを使いながら会場へ向かった。到着したのはオフィスビルや倉庫が軒を並べるビジネスパーク。会場の看板を見つけて駐車場に入ると、目の前にはどデカいボックス型の建物が構えていた。入口ドアを開けて受付に入ると、後ろに広がる巨大な遊び場と、圧倒されるぐらいの数のテーブルと椅子が目に飛び込んできた。その日はお誕生日パーティーが4組ぐらいあり、それぞれの組に個別の受付エリアが設けられていた。各お誕生日パーティーにコスプレ姿のスタッフが2人配属されている。娘のお友達のパーティーは、『アナ雪』のエルサ姿のお姉さんと、『眠れる森の美女』のオーロラ姫姿のお姉さんが担当だった。


続く

娘の4歳の誕生日〜パーティー編③ ー 注:これは今年6月に他のメディアに投稿した記事のリサイクル版

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招待状

 

会場はおさえたので一安心。次は、どの子を招待するかの人選が重要なステップとなる。娘が特に仲良しにしている女の子3人は、躊躇することなくゲストリストに載せる。この子たち以外にどの子を招待すればいいのか。定員は15人(娘を含めて)と自分たちで決めている。あと11人をどう選ぶか。娘が赤ん坊のころからよく遊んでいるボーイフレンドのW君とその弟のO君は、あいにくその週末は都合が悪くて参加できないとのことだった。親しくお付き合いさせていただいているロンドンのある日本人一家には6歳の女の子と3歳の男の子がいて、娘と一緒に遊んでもらうことがよくある。この子たちももちろん招待しよう。するとあと9人。そこで、保育園の先生たちに相談することにした。

 

娘の組の担当の先生に、娘がよく遊んでいる子たちをリストアップして欲しいと頼んだ。すると、「うーん、難しいですね。ほぼ全員、どの子とも仲良く遊んでいますよ」との返事が返ってきた。そこをなんとか、娘と過ごす時間が多い子に絞ってもらい、女の子5人と男の子3人を指名してもらった。さらに、夫の仕事を通して知り合った弁護士の友人の2歳10カ月の息子も招待することにした。

 

招待する子供たちの名前をマイクロソフト・エクセルで作成したゲストリストに入力する。子供の名前の隣のカラム(列)は親の名前、その隣は参加の可否。出来上がったリストには娘を含めて16人の子供の名前が並んでいる。リストが完成したあとは招待状の準備。リストを見ながら、会場が提供してくれた招待状にそれぞれの子供の名前とパーティーの日時、返信先を手書きで書き込む。

 

以前から不思議に思っていたのだが、英国では返事が必要な招待状には、RSVPという表記がある。たいていの場合、このRSVPの後に連絡先を表記するのだが、このRSVPというのは実は、フランス語のRépondez S’il Vous Plaît (ご返事お願いします)を略したものなのだ。100年戦争などにも見られるように、英国とフランスは歴史的に敵対関係にあることが多かった。そして英国人にはどこか、大陸ヨーロッパを見下しているようなところが見受けられる。国境検査なしで国境を越えることを許可するシェンゲン協定にも、通貨統合にも参加せず、片足がすでに外に出ていた欧州連合も、昨年の国民投票で完全に離脱するBrexitが決まった。そんな英国でなぜ、フランス語の略語を招待状に使っているのだろうか。夫にその理由を聞いてみたが知らないと言われた。そこでググってみたが、RSVPの意味を説明するサイトはあっても、その理由や起源について解説しているサイトは見つからなかった。

 

書きあがった招待状を封筒に入れ、「From Wee A💖」と印刷された可愛らしいスティッカー(数年前のクリスマスカード用に作ってあったもの)を貼る。封筒の表にはもちろん宛先人の名前を書いてある。この封筒の束を保育園の先生に託し、招待している子供たちの保護者に手渡してもらうようにお願いした。学校とは違って保育園では、子供たちを送り迎えする時間が家庭によって違う。そのため、私も夫も、子供たちは結構よく知っていても、彼らの保護者と顔を合わせることがあまりない。私は娘が特に仲良くしている女の子2人のお母さんたちとは何度が立ち話をしたことがあるが、他の子たちの保護者はほとんど知らなかった。

 

招待の返信先として、夫婦共同のメールアドレスと私の携帯番号を記載しておいた。招待状を保育園に預けてから1週間以内に4人から返事が来た。みんな参加できるとのことだった。日本人ファミリーからはこれ以前に参加の返事をもらっている。パーティーの2週間前の時点で返事をしていない子(親の責任)は4人。返事の催促をすべきか迷ったが、「返事をしない=出席しない」と判断することにした。ところがパーティーの10日前になって、ゲストリストにX印をつけていた女の子のひとりのお父さんからテキストメッセージが届いた。イースター休暇でしばらく国外にいたため、今日初めて娘の招待状を見たのだという。丁寧なお詫び文で始まるメッセージには、もしまだ間に合うならその子も是非娘のパーティーに参加したいと書かれていた。さらに、もし可能であればその子の妹も連れて来ていいかと尋ねてきた。妹の入場料と食事代は自分たちで出すからと。もちろん私は、妹さんも含めて歓迎します、追加の入場料と食事代を出す必要はありませんと返事した。

 

このやりとりの後、その子の妹の名前を追加してゲストリストをアップデートした。その時点で参加者数は娘を含めて13人だった。私は別に13という数字に何の抵抗もないので、この人数で会場にコンファームすることにした。

 

続く

娘の4歳の誕生日〜パーティー編② ー 注:これは今年6月に他のメディアに投稿した記事のリサイクル版

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会場となった「屋内遊び場」

 

会場はかなり前から有力候補があった。自宅は最初から対象外。一度に5人以上の4歳児に自宅で対応する余裕は精神的にも物理的にもない。

 

娘は今年の9月から小学校に入学する(こちらでは正式な義務教育が始まるのは5歳からだが、4歳になった年の9月から小学校幼稚部といったような課程に進む)のだが、今通っている保育園で仲良しのお友達はみんな別々の学校に行くことになっている。だから今年のパーティーにはできるだけたくさんのお友達を招待してあげたい。そのためには広くて子どもたちが思う存分はしゃげる会場が必要だ。そこで、「保育園に行かない日」で天気が思わしくないときによく娘を連れて行く屋内遊び場に以前から目をつけていた。

 

この「屋内遊び場」と私が日本語で描写している場所は、英語では一般的にindoor soft play centreなどと呼ばれている。Soft playをカタカナ表記にしてググると、エッチ関係サイトのヒットが断然多い。だからカタカナ表記をやめて「遊び場」としているが、実際に日本ではどう呼ばれているのだろうか。

 

いろんなキーワードで検索してみると、「室内遊び場」や「キッズ向け大型屋内遊び場」、「屋内遊園地」などが出てきた。しかしよく見てみると、それは中国深センにある「大型屋内遊具」メーカーのウェブサイトだった。日本で実際にどう呼ばれているのか知っている人がいたら、是非教えて頂きたい。

 

私たちがよく行くところは「屋内遊園地」というほど立派なものではない。だが、巨大なジャングルジムのようなフレームにこれまた巨大な滑り台が4列ぐらい並んでいる。奥の方にはミニサッカー場兼バスケットボールコートもある。フレームは頭などを打ってもあまり痛くないように、スポンジのような柔らかい素材が巻きつけられている。だからソフトプレイと呼ぶのだろう。

 

ここの日本式2階はパーティールームになっている。調理室もあり、温かい軽食もオーダーできる。お誕生日パーティープランは3タイプあり(正式には4タイプだが、4つめは貸し切りプランなので私たちには対象外)、どれを選んでもまず75分間のお遊び時間と45分間のパーティールームでのパーティーという設定だ。お値段の違いはパーティーテーマの選択や招待状の提供、温かい食べ物サービスか冷たい食べ物サービスのオプションなどある。

 

私たちは、真ん中のお値段のプランでディズニープリンセスのテーマと温かい食べ物サービスを予約した。誕生日の当日は水曜日だったので、その週の土曜日に開催することにした。

 

続く

娘の4歳の誕生日〜パーティー編① ー 注:これは今年6月に他のメディアに投稿した記事のリサイクル版

本日(2017年10月13日)執筆部分

3日前、娘の小学校のカバンの中身をチェック(宿題や学校からの連絡レター等が入っているので)していると、クラスメートの女の子のお誕生日会招待状が入っていた。小学校に入学してから初めてのお誕生日会インビテーションである。このカードを見て、ふと数ヵ月前の自分の体験を思い出し、そのエピソードに関してしたためた他メディアへの投稿をリサイクルしてこのブログに掲載することにした。

 

***

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娘作:バースデーパーティー

 

(これ以降は6月に執筆した記事)

 

前回の投稿で言及したとおり、「娘の誕生日にバースデーケーキを焼いて保育園に持って行く!」という公約は無事果たすことができた。だがやはり、4歳の誕生日となると、お誕生日パーティーを開くことが一家の一大イベントになる。


娘の1歳の誕生日は、親の私たちにとっては重要な行事であった。だがまだ本人に「1歳になる」などという自覚はなかったため、どちらかと言うと親が友人を招待して社交する機会であった。我が家の場合、出産前の準備セミナーのような講習会で知り合った5カップルとその子どもたちを招待し、自宅の庭でアフタヌーンティーパーティー形式の催しを行った。この年の娘の誕生日は土曜日であったため、誕生日の当日にパーティーを開くことができた。


この講習会のグループでは娘が一番最初に生まれた赤ん坊。そのため、私たちのお誕生日会がグループ最初のものだった。他のカップルのベンチマークの対象になるというプレッシャーがあったが、子どもたちはまだハイハイやタッチができる程度で、エンターテイメントに注文をつけて来るような年齢ではなかったため、頭をひねって趣向を凝らす必要はなかった。ただ、娘がすでにハローキティに目覚めていたので、飾り付けはキティちゃんをメインテーマにした。


パーティーの当日は素晴らしい晴天に恵まれた。この日のためにアマゾンで買った巨大なピクニックマットを庭に敷き、子どもたち用のおもちゃとキティちゃんのペーパー皿に盛りつけたお菓子を並べ、大人たちには紅茶やコーヒー、手作りのカップケーキ(!)とサンドイッチをふるまった(終盤にはアルコールがかなり出回っていた)。素晴らしい天気がかなりのプラス要因となり、娘の1歳の誕生日パーティーは大成功のうちに終了した。


2歳の誕生日は私たちが何かと忙しく、パーティーを計画し損ねてしまった。結局、プレゼント(『アナ雪』と『ちいさなプリンセス、ソフィア』のコスプレドレス&プラスチック製のガーデンハウス)をあげた後に親子3人でお出かけしただけに終わった。娘はこの頃にはすでにプレゼントの概念をしっかり理解していたので、「お誕生日プレゼント」は必須条件であったが、パーティーを開くということにはまだこだわりを持っていなかった。


3歳の誕生日は一家でモロッコ出張中であったため、宿泊先のホテルで仕事関係の人々や現地の友人を招いてささやかなパーティーを開き、ケーキと飲みものをふるまった。招待客が全員大人で国際色豊かな顔触れという異色のお誕生日会であったが、白雪姫のコスプレが大ウケで皆からチヤホヤされた娘は上機嫌であった。


これが4歳となると、自分のお友だちを招待して楽しいお誕生日会を開くことの重要さを主張するようになる。しかも、どんなテーマがいいかという注文さえもつけてくる。保育園で仲良しのお友達のパーティーをいくつか体験しているので、ごまかしは効かない。


こうして、今年は娘の誕生日パーティーの計画に真剣に取り組むことになった。


続く

娘の小学校入学③

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イングランド人の祖先の主流はゲルマン民族の一派であったアングロサクソン人だというから、娘の小学校付近に群がる学童と保護者の光景から「ゲルマン民族の大移動」を連想するというのはある程度理にかなっているかもしれない。だが、移民社会となった現代の英国は、多種多様な文化・民族背景を持つ国民で構成されている。我が家の近辺も、多文化共生の良い例である。

 

現代の移民系英国人でおそらく多数派なのが、こちらで「Asian」と総称されるインド・パキスタンバングラデシュ系の人々。この「Asian」はそのまま和訳すれば「アジア人」なので、私たち日本人もこのカテゴリーに入るのかというと、実はそうではない。日本人や中国人、韓国人などの東洋人は、まさにこの東洋人にあたる「Oriental」と称されることが多い(おおざっぱにひっくるめて「Chinese」と描写されることがあるのも事実)。だが、これがフランスだと、英語の「Asian」にあたる「Asiatique」は私たち東洋人を指し、英語とまったく同じ綴りの「Oriental(複数形はOrientaux)」とは、主に北アフリカ出身のアラブ人のことだからややこしい。

 

娘の初登校に話を戻そう。ジョギングレベルのペースで通学路の半分を消化した私たちは、開門の10分前に校庭に到着することができた。「開門」とは、小学校の校門のことではなく、教室につながるエリアに設けられている木製フェンスの扉のことである。この扉は8時50分にReception Yearの先生が開けに来る。保護者と学童は、この扉が開かれるまで校門を入って校庭内で待機する。そして扉が開くと保護者は子供をそれぞれの教室の入口まで送り届け、担任の先生に託す。下校時のお迎えはこの反対のプロセスで、扉が開くと保護者は教室の入口のすぐ外に待機し、保護者が来ていることを確認できた子供を担任の先生が1人ずつ教室から送り出す。この扉が開かれる10分前に到着した初登校の朝は、新しい世界に飛び込む娘にとっても、その幼い娘を送り出す私たちにとっても、期待と不安でいっぱいであった。

 

校門には、子供用スクーターがたくさん並んで置かれていた。この「スクーター」とは原付二種のことではなく、日本で「キックスケーター」と呼ばれている乗り物のことである。フランス語では「Trotinette(ㇳロティネット)」と呼ばれる。さらに、ペダル無しの自転車(こちらではバランスバイクという)も見られた。どうやら、校門まではスクーターや自転車で通学しても構わないようだ。娘はスクーターに乗るのが好きだし、つい最近バランスバイクを購入したばかりなので、翌日からはこのどちらかで通学させようということで夫と意見が一致した。私は校庭内で待機する学童や保護者をさりげなくチェックした。多文化共生の素晴らしいサンプルといえる。「Asian」も「Oriental」も黒人も数多くいるし、白人の中にも英語以外の言語を話している人々がいる。

 

保護者の間には、知り合い同士なのかその場で知り合って親睦を深めているのかは不明だが、和気あいあいとした雰囲気で立ち話をしている小グループがいくつか見られた。私たちにはこの朝の時点で知り合いはいなかった。娘が保育園で仲良くしていたお友達はみんな別々の学校に入学しているし、家族ぐるみでお付き合いしている娘の「ボーイフレンド」も、父親が教頭を務める私立学校に入学しているからここにはいない。そして、我が家のすぐ近所に娘と同じぐらいの歳の子供がいる家庭はない。子供が新しい学校に入る時、すぐにみんなとお友達になれるだろうかというのが親にとって一番気になる点であろう。だが同時に、自分が他の保護者といい関係を築き上げることができるかという点も気がかりになる。私は周囲の保護者と目が合うたびに、親しみを込めて微笑みかけた。第一印象は重要だ。

 

夫はまったく面識のない人々にも自然に気さくに話しかけるタイプの人物だが、私は少しシャイな一面があり、また自分が外国人であるという、自分で勝手に発展させてしまった無意味なコンプレックスもあって(不思議にフランスではそのようなコンプレックスはなかった)、いつでも誰彼無しに話しかけることができるタイプではない。思い切って近くに立っている保護者に話しかけてみようか、子供がどのクラスなのか訊ねてみようか、などと密かに自問していると、「あっ、この間近所の遊び場で会った女の子とそのお母さんだ。紹介するよ!」と夫が言った。

 

数週間前に我が家から徒歩3分の遊び場に娘を連れて行ったとき、その親子に出会ったそうだ。子供同士は気が合ったようで仲良く一緒に遊び始めたため、夫はお母さんと立ち話をした。すると、その女の子(以降I(アイ)ちゃんと呼ぶ)は娘と同じ歳で、クラスは違うものの同じ小学校に入学することになっていることが分かったという。その母娘を見つけた夫は、私の背中を軽く押すように彼女たちの方へ近づいた。Iちゃんの存在に気が付いた娘も嬉しそうに駆け寄った。こうして夫の斡旋でIちゃんのお母さんに自己紹介をし、立ち話をしているうちに、実は彼女たちが我が家からそう遠くない場所に住んでいることが判明した。これからなにかとお互いをサポートし合うことができるだろうからと、携帯電話番号とメールアドレスを交換した。

 

そうこうしているうちに例の扉が開き、Reception Yearの学童と保護者たちはそれぞれの教室の入口に向かって移動し始めた。Iちゃんは別のクラスなので、扉を通り抜けた時点でバイバイした。教室の入口には担任の先生が笑顔で立っている。担任補佐の女性の姿も見えた。周りには保護者と別れるのを嫌がって涙ぐんでいる子供が数人いたが、我が娘は嬉しそうに学校の手提げかばんを持って教室にずんずんと入っていった。この手提げかばんは幼い娘の小さな体には巨大に見えたが、大はりきりで教室に入っていく娘の後ろ姿は頼もしく、誇らしかった。いつの間にこんなに大きくなったのだろう。幼稚部とはいえ、子供の小学校入学というのは親にとって非常に感銘深い人生の一大イベントのひとつなのだと、しみじみと感じた。娘が教室内に入って外から見えなくなった後も、夫と私はお互いの手を握り締めたまま、しばらくその場で感動の余韻に浸っていた。