けりかの草子

ヨーロッパ在住歴24年、現在英国在住のバツイチ中年女がしたためる、語学、社会問題、子育て、自己発見、飲み食いレポートなど、よろずテーマの書きなぐり。

Superdry 極度乾燥(しなさい)と私 ~その ⑥

それまでの私の日常着ワードローブのブランド別勢力構造は、ユニクロ 70%、その他 30%というものであった。これが冬になると、ヒートテックのインナーや暖パンのフル活用で、ユニクロ 90%、その他 10%ぐらいになる。ところが、Superdryがセール解禁となり、この勢力関係に大きな異変が起こり始めた。

 

サマーセール期間中に購入したSuperdryのアイテムは何点ぐらいに及ぶだろうか。意味不明な日本語が書かれていないTシャツ2枚、フィットネスウェアのパーカーとタンクトップ、袖がレースのグランパシャツ3枚(白2枚とカーキー+ブラック1枚)、マリンストライプの長袖薄手ニットトップス1枚(ウェストがくびれフィット)、ユーティリティーパンツ風ジョガーパンツ1着などなど。さらに夫用にカッコいいブラックのグランパTシャツ1枚と、ダークグレーのグランパニットジャンパー1枚。これらはネットショップでオーダーしたものだ。

 

この夫用のブラックのグランパTシャツは実は、彼が自分で買ったものの色違いだ。彼が買ったのはネイビーだが、杢ライトグレーのパーカー購入でSuperdryにすっかり改宗した私が、宣教師のごとく彼にSuperdryの良さを売り込み、その気にさせたのだ。彼自身、このTシャツを着用するようになって以来、Superdryのデザイン性と質感の高さ、価格のお手頃さにかなり感心している。最初は自分がこのブランドの対象年齢をかなり上回っている(夫は60代なので)とコンプレックスを抱いていたようだが、このグランパTシャツやグランパニットジャンパーを着た夫の姿を見た娘と私に、「ダディ、カッコいい!」と褒められ、自信が湧いたようだ。

 

夫の故郷インバネススコットランド)に滞在中に店舗内でのサマーセールで得たお気に入りアイテムは、ベージュのトレンチコート。なかなか厚みのあるしっかりとした生地で作られており、裏地も施されている。このブランドの主流であるアメカジ路線とは一線を画したシックなモデルだ。これはビジネスミーティングにでも着て行ける。

 

秋口の今の私の日常着ワードローブ勢力構造は、Superdry 60%、ユニクロ 30%、その他 10%ぐらいではないだろうか。とにかく、Superdry が断然優勢にある。現在の室内着は99〜100%がSuperdry ものだ。そのままの姿で娘を学校に送り迎えしても、恥ずかしいという思いはない。むしろ、胸を張って行けるのだ。ズンバ教室に行く時は、フィットネスウェアのクイックドライ素材パーカー(ブラックの迷彩柄)を着用している。肌寒くなってきた最近は、その上にユニクロのウルトラライトダウンベストを重ね着している。

 

このフィットネスウェアのパーカーは、外側には奇妙な日本語は一切表示されていないのだが、内側に非常に不思議な日本語の商品説明(?)がプリントされている。しかもそれは、英語の説明文の途中に意味不明な日本語が割り込んだ形になっている。

 

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これがその不思議な説明文

 

おそらく、

Superdry@

SuperTechFabric: Moves Moisture Away From Skin During Excercise 

Japan Spirit British Design 

とあるべきなのであろう。この間に飛び入りした日本語は、一説の通り、Google Translateによる翻訳なのだろうか。使われている単語の多くは、確かに英文を見ていると関連用語ではある。だが、文章としてまったく意味を成していない。最近のGoogle Translateの訳はもっとましだと思う。そこで実験してみることにした。その結果がこれ。

 

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グーグル翻訳の結果

 

やはり、それなりの訳文が出てくる。では、あの日本語は一体何なんだろう。そしてどうやって出てきたのだろうか。店舗内でのサマーセールで買った、「Storm Hybrid Ziphood」というシリーズもののあの中綿入りジャケットにも、内側のラベルにこの上なく不思議な日本語が表記されている。しかも、権威のある口調の文章で、全体としての意味は不明だが、それなりに文章になっている。実に不思議だ。いつか、このブランドのデザイナーに、どうやってこのような日本語の文章を作成しているのか訊ねてみたい。

 

だがきっと、日本人にとってはまったく意味を成さない奇妙な日本語でも、日本語を理解しない非日本人にとってはカッコよく目に映るのだろう。まあ、下品な言葉や侮辱が書かれている訳ではない(日本人を含む東洋人が昔に着ていたTシャツなどには、こういった恥ずべき英語の表現が書かれていたことがよくあった)ので、お茶目な演出ということにしておこう。

 

実は、私のSuperdryハマりをさらに加速させたニュースがある。

 

それは、まだサマーセールが続く8月19日のこと。アプリをiPhoneiPadの両方に入れているBBCのニュースアプリに、「Brexit vote campaign gets £1m from Superdry co-founderブレグジットに対する投票キャンペーンにSuperdryの共同創業者から100万英ポンドの資金提供)」という見出しが出ているのが目に入った。

 

こちらがその記事:

www.bbc.co.uk 

気になるので早速記事を読むと、このブランドの共同創業者ジュリアン・ダンカートン氏が、英国のEU離脱にあたって英国がEUと交わす最終合意の内容について、国民に賛否の意思表示をする機会を与えることを要求している(俗に言う、2度目のブレグジット国民投票)「People's Vote(人民の投票)」運動の主催者に100万英ポンド(約1億4600万円)の資金を提供したという。このニュースはBBCニュースだけでなく、当然ながらガーディアン紙やタイムズ紙、デイリーテレグラフ紙、デイリーメール紙といった英国の有力全国紙でも大きく取り上げられていた。

 

記事の中で、ダンカートン氏は、「もしブレグジットが20年前に起こっていたら、現在のSuperdryブランドの世界的な成功は考えられないものだったはず」と語っている。だから彼は「People's Vote」にこの運動が受けた資金提供の中で最大級の貢献をしたのだそうだ。これは反ブレグジット派の私にとって、グッと込み上げるものを感じるニュースだった。

 

このブランドの対象年齢層には反ブレグジット派が多い。彼らのポジティブな反応を狙っていたとしたら、私はまさにその思惑通りの行動をしている。そう、私のSuperdry購入頻度は、確かにこのニュースでさらにアップした。

 

今から数日前の10月20日、「People's Vote」の呼びかけで、2度目のブレグジット国民投票を求める人々がロンドン中心部でデモ行進をした。日本語のこの記事に結構詳しく報道されているので、興味がある人はご覧あれ:

topics.smt.docomo.ne.jp

 

こちらのメディアの報道では、ロンドン市長のサディック・カーン氏など数多くの著名人を含め、英国全土から集まった約70万人の参加者が国家議事堂広場まで行進したそうだ。

 

その中に、Superdryの服を着た人々は何人いたのだろう。

 

そんな考えを巡らせる私のSuperdryフィーバーは、2週間前に始まったミッドシーズンセールでさらなる高みに達していたのだった。

 

ミッドシーズンセールでの「戦利品」の数例をあげると、日本から帰国後に買ったブラックの「Track & Field 」パーカーのレッド版、ブラックの「Scuba Luxe Longline Blazer Jacket」(下の写真)、そして、最近ひどい腰痛のためジーンズが履けなくなったので重宝しているブラックの「Fashion Jogger」。これはやや細身のジョガーで、サイドにあしらわれたラメ入りの黒いテープがカッコいい上に、履き心地抜群。さらに、サマーセール中にスコットランドの店舗で買ったスマートなトレンチコートのレッド版を夫が買ってくれた。

 

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これは何と70%オフで入手した

 

もうここまでくれば、私の日常着ワードローブの勢力図は、Superdry 80%、ユニクロ 15%、その他 5%ぐらいになっているであろう。

 

定番アイテムは十分以上に揃ったし、欲しいと思うアイテムはもう買い尽くした。いくら50%オフセールといっても、これ以上は過剰摂取になる。

 

そろそろ熱を冷まして落ち着くべきだと自覚している私であった。

 

~(やっと)完~