けりかの草子

ヨーロッパ在住歴24年、現在英国在住のバツイチ中年女がしたためる、語学、社会問題、子育て、自己発見、飲み食いレポートなど、よろずテーマの書きなぐり。

Superdry 極度乾燥(しなさい)と私 ~その ③

Superdry 極度乾燥(しなさい)がセールをしないポリシーを通していると知って以来、私はこのブランドを数年間意識的に無視してきた。他の用事で店舗の前を通りかかることがあっても、立ち寄ることは決してしなかった。だが、横眼でショーウィンドウをチラ見することが何度かあったことは否定できない。本当は気になるのだが、あんなお高くとまっているブランドに媚を売るなど、私の自尊心が許さない。そもそも、いい歳こいた四十路の日本女子が、訳のわからぬ日本語を掲げた若者向けの服を着て出歩くなど、同邦人の面汚しになるではないか。

 

私はベーシックな普段着としては、ユニクロのアイテムを多用している。特にヒートテックのインナーや暖パンは、冬のマストアイテムになっている(2017年12月13日投稿の『冬の必需アイテム』をご参照あれ)。だが、パーカーとなると、無地しかないユニクロものはどうもベーシックすぎるうえに、カラーオプションもどこかくすんだ色が多く、レディースモデルでも上から下までストンとまっすぐカットなので、私の目には野暮ったく見える(というよりも、私が着るとかなり野暮ったくなるだろう)。

 

それでも、昨年の1月に日本に里帰りした際、ユニクロで黒の裏ボア付きパーカーを買った。寒い英国の冬に活躍する品であったが、何度目かの洗濯の後、湿気のようなニオイが取れなくなった。乾燥機に入れようが、晴天の日に天日干ししようが、衣類の消臭剤と一緒に洗濯しようが、この嫌なニオイはまったく解消されなかった。それどころか、ニオイはますます強くなり、身に纏うのが苦痛になったため、チャリティー団体の不要衣類回収ボックスに寄付してしまった。

 

7年ぐらい前に買ったアバクロの白いフードなしパーカー(もちろんセール中にネットで購入)は、プロゴルフトーナメント観戦や夫と9ホールをプレーして回る時などに特に愛用していたが、着込んでいるうちにグレーに変色し、摺り切れも所々にできてしまったため、だいぶ前に処分してしまっていた(チャリティー団体に寄付)。あのアバクロのパーカーを頻繁に着ていた頃、「君はこのブランドの対象年齢層から外れているだろ」と米国在住の夫の友人にからかわれたことがあった。夫もその友人も私より一回り以上年上なので、その時は「あんたたちよりは対象年齢に近い!」と言い返して着続けていたが、やはり彼のあの言葉は私の自尊心に傷を残していた。だから以来、アバクロものと一目瞭然のパーカーなどは買わないようになった。

 

といった訳で、私はしばらくパーカーなしの生活をしていた。パーカーは日常の必須アイテムではないが、あると非常に便利で重宝する。ユニクロものは愛想がないし、アバクロはまたからかわれる可能性が高い。いい感じのパーカーを売っている他のブランドで思いつくのは、英国カレッジトラッド系のジャック・ウィルス(こちらをご参照あれ:日本未上陸!人気急上昇中の「ジャック・ウィルス」は香港で手に入れろ! | TRIP'S(トリップス) )だが、これはイングランドの中高校生(特に私立学校)の学校外制服のようになっているため(このブランドのパーカーやスウェットシャツ+レギンスまたはスキニージーンズ+UGGのムートンブーツが超定番)、それこそ対象年齢層をかなり外れている私は恥ずかしくて着ることができない。

 

それならやはり、Superdry 極度乾燥(しなさい)ものだろうか…  確かにSuperdryには、カッコいい日常着アイテムとして重宝しそうなものがいくつかある。

 

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拒絶しながらも、実は気になる???

 

だが、ジャック・ウィルスが中高生の定番ブランドになっているのに対し、最近はSuperdry は30代~50代の「大人」の間で普段着の主流ブランド化している。小学校低学年の娘を学校に送り迎えするときに出くわす他の学童の保護者も、ビジネスウェアの人を除外すると40%近くがこのブランドのアイテムを着ているように見える。娘の学校のすぐ近くにある教会(英国国教会なのだか、キリスト教新興宗教なのだかイマイチ不明)の牧師さんは、おそらく私より5歳ぐらい若いのだと思うが、彼でさえ私服のときは必ずSuperdryものを着ている。夏はTシャツ、そして最近はパーカーかスウェットシャツにジーンズ姿だが、いつもSuperdryもので、しかも様々なデザインのものを持っている。

 

流行っているからといって、大勢の人々と同じものを持つことは極力避けたい(というか、プライドが許さない)私なのだが、実用性、品質、デザインの良さ、全体的な魅力と価格の正当性という要素を備えたブランドなら考慮してもいい。

 

そういった成り行きで、私は数年間その存在を否定してきたSuperdry 極度乾燥(しなさい)の店舗を意図的にチェックするようになったのだった。

 

~続く~