けりかの草子

ヨーロッパ在住歴24年、現在英国在住のバツイチ中年女がしたためる、語学、社会問題、子育て、自己発見、飲み食いレポートなど、よろずテーマの書きなぐり。

古人の戒め〜その②

そしてその日の夜、招かざるコメントを避けるため、夫と娘がテレビに夢中になっている間にこっそりと2階のバスルームでバレイヤージュ染毛料の塗布にとりかかった。染毛料と書いてしまったが、バレイヤージュでは髪をほうきで掃いたようなスジにブリーチする訳であるから、染毛料ではなく脱色剤と表現すべきだろう。とにかく、DIYバレイヤージュ剤を付属品のブラシに載せ、髪に塗る作業を丁寧に進めていった。

 

ところが、塗り終わってから気づいたのだが、この付属品のブラシは縦向けに持って髪の上を走らせるものであって、横向けにするものではない。しっかりと説明書を見ていたつもりの私であったが、実はなんとブラシを横向けに持って髪に走らせてしまっていた。だから当然のごとく、バレイヤージュ剤が塗布された領域は広くなってしまっている。しかも、頭全体にまんべんなくハイライトの筋を入れようと、ブラシを横向きにしたままあちこちに走らせていた。ということは、ほうきで掃いたようなスジではなく、結局表面の髪のほぼ全体をブリーチしてしまっているのでは?指定されている15分間のウェイティングタイムを、私はそんな不安感に包まれて過ごした。

 

15分後には髪を洗い流して付属の専用トリートメント剤を塗る予定であったのだが、テレビを観ていた娘が2階に上がってきて、透明のビニール手袋を両手にはめて肩に古手ぬぐいをまとった濡れ髪の私を不思議そうに見つめ、「オカアサン、何してんの?」(オカアサン以外は英語)と聞いてきた。その返答に四苦八苦していると夫までが2階にやってきて、娘と声を揃えて私を質問攻めにした。

 

2人に私の行為の意図と動機を説明しているうちに、指定されたウェイティングタイムから10分も過ぎてしまった。これはやりすぎかもと慌てて髪を洗い流し、トリートメントを塗り込んで再び洗い流した。鏡を見ると、髪の付け根のところどころが異様に明るい色になっている。まるでブチ猫のようだ。だが、まだ髪は濡れているので全体的な仕上がりは分からない。なんとか体裁良く仕上がっていることを祈りつつ、髪をドライヤーで乾かした。

 

髪がある程度乾いてから再び鏡を見た私は、思わず叫びそうになった。頭の上半分には、キンキンに脱色した髪の間に5cm幅ぐらいの黒髪の筋がいくつか走っている。まるで虎柄の鬼のパンツだ。そして根毛から10cmぐらいが真鍮色のように他の部分よりも異様に明るい「ブチ」が前頭部の両サイドにある。毛先の方は全体的にドキンキン。そして表面の髪をまくり上げると、下はほぼ黒髪。この仕上がりのムラはなんとも甚だしい。様々な角度から見てみたが、「昭和の田舎のヤンキー」としか描写しようのないスタイルになってしまった。

 

DIY Disaster...

 

続く

 

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虎柄の鬼のパンツか昭和の田舎のヤンキーか...