けりかの草子

ヨーロッパ在住歴24年、現在英国在住のバツイチ中年女がしたためる、語学、社会問題、子育て、自己発見、飲み食いレポートなど、よろずテーマの書きなぐり。

娘の4歳の誕生日〜パーティー編⑧ ー 注:これは今年6月に他のメディアに投稿した記事のリサイクル版

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写真が例のティアラ

 

 

夫も私も、例え土壇場で思いついたことでも実行に移さないと気が済まないタチである。この日も、パーティーの数時間前にあることを思いつき、そのアイデアを実現させるために奔走した。


イデアというのは次のようなものだ。以前から夫が参加する子供たちの保護者に海賊の帽子やアイパッチを配布して仮装してもらおうと提案していたが、保護者ではノリが悪いかも知れない。そこで、子供たちを対象にして、女の子はプリンセスティアラ(紙製)、男の子は海賊のバンダナとアイパッチを配ろうと思いついた。


こういう小道具は、最低でもイベントの1週間前には手配するのが常識であろう。しかし、思いついたのがイベント当日の朝。無謀極まるがやってみないと気が済まない私は、近所のパーティーグッズ専門店へ車を飛ばした。このパーティーグッズ専門店は、外から見るとオシャレなものは置いてなさそうな、ひなびた小さな店なので今まで中に入ったことはなかった。


だが、イベントまであと数時間という切羽詰まった状況では、他に選択肢はない。さすがのアマゾンプライムでも、注文して1時間後に配達は無理であろう。ありがたいことに、車で5分もかからない近所にこのパーティーグッズ専門店がある。中に入ってみると、意外にも4〜5人の客で賑わっていた。


早速お目当ての紙製ティアラと海賊バンダナ+アイパッチを探す。ところが、大人の怪しい系コスプレパーティーグッズばかりで、子供のパーティー用品と言えば、40ペンスでヘリウムを入れて膨らませるサービスも提供されている風船か、いかにも安物っぽいパーティーバッグ用のおもちゃだ。


この店は家族経営と思われるが、店内には物腰の柔らかい初老の女性と彼女の娘と思しき若い女性が注文していた風船を取りに来た客の対応に追われていた。少し待ってやっと落ち着いてきた時、この初老の女性に私が探しているもの伝えた。


初老の女性は少し戸惑ったような表情を見せ、紙製のティアラはないが、プラスチック製のものならあると、店の奥に案内してくれた。すると、レンタル用のコスチュームコーナーの入口に、羽根飾りがベースについたプラスチック製のティアラがいくつか引っ掛けられているボール紙製スタンドがあった。


子供たちにぴったりの大きさのようだが、果たして人数分あるのだろうか。娘のパーティーに参加する女の子は、娘本人を含めて8人。数えてみると、奇跡的にぴったり8個あるではないか!これは日頃の行いが良かった報いだろうか。お値段的にはかなり予算オーバーであったが代替品はないし、せっかくのアイデアを実現させずに諦めたくはない。そこで私は、他の客に取られてしまわないよう、8個のプラスチック製ティアラを抱え込んだ。


次に入手すべきものは、男の子用の海賊バンダナとアイパッチ。ところが、これは大人用しかなく、子供でも使えるのは、アメリカンインディアンの羽根つきヘッドバンド(注: 英語では差別語を避けるためか、Native American Feather Head Bandと表記されていたと思う)のみ。仕方がないので、これを人数分買うことにした。


とりあえず目的は果たしたので大急ぎで帰宅し、お昼ご飯の用意をした。パーティーは14時からだが、主催者である私たちは最低でも15分前には会場入りするように言われていた。だから早めにランチを済ますことにしていた。ランチの途中で会場から電話があり、近辺の主要道路が閉鎖されているために大渋滞が発生していると警告された。この辺の地理と道路に詳しい夫は早速おすすめルートを策定し、それを私が参加者の保護者にテキストメッセージで拡散した。


こうしているうちに私たちが家を出発すべき時間になった。約束通り夫が娘を説得し、私が計画していた衣装に着替えさせることに成功した。パーティーバッグやプラスチック製ティアラとアメリカンインディアンの羽根飾りなどの小道具を夫の車に積み込み、娘をシートに座らせてシートベルトをはめ、いざ家を出発した。


続く