けりかの草子

ヨーロッパ在住歴24年、現在英国在住のバツイチ中年女がしたためる、語学、社会問題、子育て、自己発見、飲み食いレポートなど、よろずテーマの書きなぐり。

娘の4歳の誕生日〜パーティー編⑮完結編 ー 注:これは今年6月に他のメディアに投稿した記事のリサイクル版

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写真は子供の遊び場付きパブの遊び場

 

パーティールームの壁にかかっている時計を見ると、時間切れまであと10分程度。16時には全員がパーティールームから立ち去っている状態にして下さいと言われていたが、アイスクリームを食べ終えた子供たちは再びダンスフロアエリアで風船を追いかけ回してはしゃいでいるし、保護者も世間話に暮れていて、腰を浮かす気配はない。

 

ここは夫と私が動きを見せるべきだろうかと自分に問いかけながらスタッフの女の子の方に目線をやると、彼女は相変わらずぼーっと突っ立っているだけで、私たちを急かせるようなそぶりは一切見せない。そこで、時間に気づいていないふりでしばらく乗り切ることにした。

 

しかし、(自称)根が律儀な日本人の私は、定刻を守らないというのはどうも後ろめたくて落ち着かない。16時を10分程度過ぎた時点で私がお礼を言いながらパーティーバッグを配り始めると、ルーム内は自然に「お開きの」ムードに流れが変わった。

 

ここでも例のスタッフの女の子は大して役に立たなかった。数が足りないかも知れないパーティーバッグの「賢い」配布法(サプライズゲストには会場が用意したものだけ配給)に専念していた私は、先ほど切り分けてペーパーナプキンに包んでもらったケーキのことをすっかり忘れてしまっていた。それに気が付いたのは、このスタッフの女の子のおかげではなく、ゲストの保護者の1人に催促されたからである。

 

なんとか体面を失うことなくパーティーバッグとケーキを配布することに成功し、ルームにゲストがほぼいなくなった時点で、娘が頂いたプレゼントや小道具の残りものをかき集めて階段を降りた。娘はロンドン方面から来た友人の息子と日本人ファミリーの子供たちと合流し、再びプレイエリアで遊んでいる。夫は彼らの保護者に声をかけ、近くにある子供の遊び場付きパブで打ち上げをしようと提案した。

 

私はサプライズゲストのMちゃんの料金を交渉しに受付へ向かった。すると、受付にいたこれまたティーンエイジャーのようなスタッフの若造が、追加料金は必要ないと言った。まあ、核心的なサービスが超イマイチだったのだから、これくらい「勉強」してもらって当然だろう。だが私はここで高飛車にならず、丁寧に礼を言った。

 

そろそろ遊んでいる娘たちを呼び戻して打ち上げ会場に向かおうかと考えていた矢先、スタッフの1人が「パーティーの後はプレイエリアに戻って遊べません!」と注意しに来た。その理由は、食事の後にプレイエリアで遊んで戻したりすると衛生上問題になるからだと言う。だが、ここではカフェテリアで軽食も売っている。パーティー以外で遊びに来た子供たちがカフェテリアのメニューからランチをオーダーして食べ、その後再び遊ぶというパターンは日常茶飯事のはず。この矛盾にはムカッとしたが、パーティーが終わってドッと疲れを感じていた私には、こんなことで言い争いをする気力は残っていない。「Oh、Sorry!」とだけ言って、子供たちを呼び戻した。

 

とにかく、娘の4歳のお誕生日パーティーは、ハプニングとてんてこ舞いの積み重ねであったがなんとか無事に終了した。ゲストの保護者からもすぐにお礼のメッセージが数件届いた。みんな大変楽しんでくれたようだ。少し本題を外れるが、こういうお礼メッセージとそれが送られてくるタイミングも、保護者の格式を知るバロメーターである。

 

パーティー会場を立ち去る前、主役の娘にパーティーの感想を聞いてみた。親のストレスとはまったく無縁の本人は、めいっぱい楽しんだようである。「Best Party Ever! Thank you オカアサン, thank you Daddy!」と言って、ハグまでしてくれた。あゝ、なんてカワユイのだろう!自分の結婚式の時よりもストレス度が数グレード高かったが、それなりに立派なパーティーを開いてよかった。

 

娘の無邪気な喜びぶりには疲労感が吹き飛び癒された。だが、最後にひと言、「次の私のバースデーパーティーは、Sちゃんのパーティーと同じところにしてね!」と念を押された。

 

やはり、Sちゃんのパーティーには敵わなかった訳か。。。

 

(やっと)完