けりかの草子

ヨーロッパ在住歴24年、現在英国在住のバツイチ中年女がしたためる、語学、社会問題、子育て、自己発見、飲み食いレポートなど、よろずテーマの書きなぐり。

娘の4歳の誕生日〜パーティー編⑭ ー 注:これは今年6月に他のメディアに投稿した記事のリサイクル版

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パーティールームのダンスフロアエリア

 

 

95%セルフサービスのパーティーフードをひと通り給仕し終え、お皿に食べ物が見えなくなった、あるいはお皿の上の食べ物が原形をとどめない状態になったころ、子供たちはテーブルがセッティングされたスポットの後ろにあるチェス盤のようなダンスフロアエリアへ進出し、そこに散りばめられていた風船で遊び始めた。

 

Sちゃんのハイグレードパーティーより高いスコアを獲得できた唯一のカテゴリーは、パーティールームの広さだ。Sちゃんのパーティーでは、子供たちを座らせると室内は満員状態で、壁側に設置された保護者用の長椅も参加者全員が腰を掛けれるだけのスペースはなかったため、パーティールームの外で数名の保護者が立ち見状態になっていた。私たちの会場のパーティールームは少なくともその4倍のスペースはあったと思う。子供たちは風船を追いかけまわし、楽しそうにはしゃいでいた。

 

ここのパーティープランでは、パーティールームを使えるのは45分間。残りあと10分というところで子供たちを再びテーブルにつかせ、バースデーケーキのロウソク火消セレモニーを行うことにした。

 

私は自宅を出る前、数字の「4」を模ったロウソク(保育園に持っていた手作りケーキで使ったもの)をビニール袋に入れ、他の小道具と一緒にショッピングバッグの中に入れたつもりであった。だが、役立たずの会場スタッフの女の子に「ロウソクをケーキにセッティングしてください」と言われて、ショッピングバッグも自分のハンドバッグも中身をひっくり返すほど探したが、見つけることはできなかった。これにはかなり焦ったが、幸いにも会場が白とピンクの螺旋ストライプの細いロウソクとダークピンクのものを数本用意してくれていた。すでに最低でも2度は使われたであろうものであったが、火を吹き消すという儀式だけが用途なのだから、環境問題も考慮に入れるとこれで十分だ。

 

長さがチグハグの使い古しロウソクを、ケーキ表面のアイシングに描かれている6人のディズニープリンセスの顔を崩さない位置に差し込み、マッチで火をともす。私がロウソクをセッティングしている間、夫は子供たちの保護者に「ハッピーバースデー・トゥ・ユー」の歌への協力を呼びかけて回った。保育園での火消セレモニーでは、「ハッピーバースデー・トゥ・ユー」を歌い終わったあと、伝統的な「ヒップ、ヒップ、フーレイ!」の3回喝采が送られたが、今回は歌だけで終わった。

 

保育園での儀式では、自分1人でやる自信がないから私に火消を手伝ってくれと言った娘だったが、このパーティーでは立派に独りで任務を全うすることができた。ケーキを運びながら歌の音頭をとったのは、海賊姿の夫。私はロウソクセッティング係から、この重要なシーンを画像に収めるカメラマンに変身した。

 

こちらでは、バースデーケーキは火消セレモニーのあとに切り分けてその場で食べるのではなく、「引き出物」のパーティーバッグと一緒にゲストの帰り際に配るのが主流のようだ。Sちゃんのパーティーでもそうだったし、その前にお呼ばれした別のお友達のパーティーでもそうであった。娘のパーティーでも自然とそういう流れになり、気の利かないスタッフに言つけて、切り分けたものをペーパーナプキンに1つづつ包んでもらった。ここで「しまった!」と思ったのは、切り分けたケーキを入れる可愛いお持ち帰り用ビニール袋を用意していなかったこと。Sちゃんのパーティーでは、切り分けたケーキは素敵なモチーフが印刷された透明のビニール袋に入れ、これまた可愛いリボンで袋の口を縛ってゲストに配っていた。このビニール袋とリボンが会場によって用意されたものなのか、それともSちゃんのお父さんとお母さんが手配したものなのかは不明であったが、こういったディテールへの配慮はパーティーを催すうえで大切なポイントだ。これを忘れるとは、なんともうかつだった。

 

ケーキの代わりにデザートとして配られたアイスクリームを嬉しそうに食べる娘を眺めながら、「ごめんよ、Aちゃん!お母さんはまだまだ未熟なダメ母だ!」と、自分への叱咤と娘への謝罪を心の中で繰り返した。

 

 続く