けりかの草子

ヨーロッパ在住歴24年、現在英国在住のバツイチ中年女がしたためる、語学、社会問題、子育て、自己発見、飲み食いレポートなど、よろずテーマの書きなぐり。

娘の4歳の誕生日〜パーティー編⑨ ー 注:これは今年6月に他のメディアに投稿した記事のリサイクル版

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写真は外注したバースデーケーキ

 

たかが4歳児のお誕生日パーティーで競争心を燃やすつもりはないのだが、やはり親というものは見栄と意地に翻弄されてしまう定めにあるのだろうか。あの2週間前のお友達のパーティーは、会場もサービスも手作りケーキもみなグレードが高かった。そのお友達ももちろん娘のパーティーに参加することになっているし、この子のパーティーを経験した他のお友達も数名娘のゲストになっている。あまりにも引けを取る催しでは主役の娘が可哀そうだ(というより親のプライドが許さない?)。「うちはうち、よそはよそ!」と何度自分に言って聞かせてもプレッシャーは収まらない。


会場のグレードの高さでは、どうあがいてもかなわない。だが、参加者の多くがこの会場から車で15分以内の距離に住んでいるため、交通の便という点では私たちのパーティーのほうが若干スコアが高いかもしれない。ところが当日になって、この予期せぬ交通渋滞というニュース。これではせっかくのアドバンテージもおチャラになるだろう。ケーキはご存知のように外注品。パーティーバッグは会場が提供するグッズ次第だが、私たちが独自に用意したものをプラスすれば、引けを取ることはないと思う。さらにプラスチック製ティアラとアメリカンインディアンの羽根飾りという豪華なおまけつきだ。


パーティーで振る舞われる温かい食べ物とソフトドリンクは子供が対象であって、基本的に保護者へのサービスはない。これは、あのお友達のパーティーでもそうであり、保護者は自分たちで適当にコーヒーや紅茶をカフェテリアで自費オーダーしていた。そこで以前から夫は、保護者のドリンクも私たちで負担して、「ケリー家のおもてなし」タッチを加えようと提案しており、私もそのつもりにしていた。この「保護者おもてなしサービス」でかなりのスコアを稼ぐことができるだろう。後はやはり、パーティールームの装飾と給仕される食べ物の質、そして給仕サービスのレベルが重要な評価ポイントであろう。


道中そんなことを考えていた私だが、途中で男の子用のアメリカンインディアンの羽根飾りが1つ足りないことに気づき、ドライバーの夫に急きょ目的地を変更するよう頼んだ。私の性格をすっかり把握している彼は、呆れた態度を見せることなく近所のパーティーグッズ専門店へ進路を変更してくれた。ついでに大人用(自分用)の海賊船船長の帽子も買ってきてくれと言われたが、もう店内のレイアウトがしっかり頭に入っている私は迷うことなく目的の品々が陳列されているスポットに向かい、3分も経過しないうちに任務を完了して車に戻ることができた。


交通渋滞は私たち側の車線はそれほどでもなく、通常より数分余計にかかっただけで無事パーティー開始の25分前に会場入りすることができた。娘が車内で眠り込んでしまったので、夫と娘は駐車場で待機し、私だけ先に小道具類を持って中に入ることにした。


受付で名乗ると、「パーティープランナー」だと自己紹介する若い女の子が出てきた。「女性」ではなく「女の子」という表現を使っているのは、彼女があまりにも幼く見えたからだ。一般的に東洋人よりも老けて見える西洋人だが、天然パーマっぽい金髪に小さな青い目のこの子は、どう見てもティーンエイジャーにしか見えなかった。この若年パーティープランナーに案内されて、日本式1階にあるパーティーゲストの「控室」を視察し、次に日本式2階のパーティールームをチェックしに行った。


この部屋は、あのお友達が使ったパーティールームの4倍近い広さだ。だが、装飾と言えば、壁に「HAPPY BIRTHDAY」のカラフルな文字のバナーが貼り付けられていて、真ん中にセッティングされた子供用の長テーブルにビニール製のディズニープリンセステーブルクロスがかかっている程度だ。よく見ると部屋の奥の隅に、『美女と野獣』のベルと『眠れる森の美女』のオーロラ姫、そしてシンデレラが描かれたボール紙のボードが立っている。シンデレラとオーロラ姫の顔の部分がくり抜かれていて、子供たちがそこから顔を出せるようになっている。部屋の手前半分のスペースはフローリングだが、奥半分はチェス盤のような白と黒の升目模様のフロアになっており、そこに20個ぐらいの風船が転がっていた。パーティールームの装飾では完全に負けだ。だが、この広さは子供たちにも保護者にもウケるかもしれない。


質素な飾り付けに落胆した私だったが、気を取り直してケーキと食べ物をチェックすることにした。入口の右の壁側に給仕テーブルが設置されており、ケーキはここに展示されていた。注文通りディズニープリンセスものだ。白雪姫、ベル、オーロラ姫、シンデレラ、『リトルマーメイド』のアリエル、そして『アラジン』のジャスミンが描かれたアイシングには、「HAPPY 4TH BIRTHDAY Princess ALISA!」と印字されている。やはり私の手作りケーキよりずっと美しい。しかも、娘がリクエストしていた「白雪姫ケーキ」に近いものだろう。


食べ物は給仕する直前に持ってくるということなので、このテーブルにはまだ置かれていなかった。次にチェックを入れたのは会場が用意したパーティーバッグ。女の子用は非ディズニー系プリンセスの塗り絵・工作・シールセットに棒キャンディーがひとつ入ったパック。男の子用は海賊(これまた非ディズニー系)の塗り絵・工作・シールセットに棒キャンディーがひとつ入ったパック。悪くはないが、やはり自分たちで追加パーティーバッグを用意しておいてよかったと思った。女の子用のパックの数が足りないので補足してくれるようにパーティープランナーに頼むと、私はこのテーブルの上にプラスチック製ティアラとアメリカンインディアンの羽根飾りを体裁よく並べ、参加者リストを渡すために受付に戻った。


続く