けりかの草子

ヨーロッパ在住歴24年、現在英国在住のバツイチ中年女がしたためる、語学、社会問題、子育て、自己発見、飲み食いレポートなど、よろずテーマの書きなぐり。

娘の4歳の誕生日〜パーティー編⑥ ー 注:これは今年6月に他のメディアに投稿した記事のリサイクル版

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*写真は近所のスーパーにも置いている既製品のケーキ

 

 

この娘のお友達のパーティーは実にレベルが高かった。かなりお高めのパーティー料金なのだろうと思っていたが、受付で入手したパーティープランのパンフレットを見ると、私たちの会場より1ポンド程度高いだけであった。恐れていた通り、娘はこの会場にすっかり魅せられ、自分のお誕生日会もここでしてくれとねだり出した。テーマ別のパーティールームのひとつがディズニープリンセスものであることもしっかりチェックしていた。わが娘ながら実に目ざとい。お友達のパーティーが終わって帰宅する車の中で、娘はこの会場で開く自分のパーティーの計画を延々と語った。

 

ディズニープリンセステーマのお誕生日パーティー」という点に関しては条件を満たしている。だが、会場はすでに行きつけの屋内遊び場に決まっていて、デポジットも払ってある。このデポジットはキャンセルしても戻ってこないし、招待状もすでに発行済みだ。がっかりさせたくはないが、今更会場変更などできない。「XXちゃんと同じとこで私のパーティーやるのよね!でもプリンセスルームよね!ケーキはプリンセスがいっぱいのっかってて、ピンクで真ん中に白雪姫が立ってるのがいい!お友達もみんなプリンセスのドレスを着るの!」(注:実際のセリフは英語)とはしゃぐ娘に、「さあ、どうかな?お楽しみに!」(注:私の返事は日本語)と誤魔化すしかなかった。

 

娘のパーティーの参加者数を正式にコンファームしたのは、イベントの4日前のことだった。会場から確認の電話がかかってきたのだ。最初に予約を入れてデポジットを払ったとき、ケーキも注文することができるとのことだったので、ずっとそのつもりにしていた。手作りケーキは誕生日の当日に焼いて保育園に持って行くと公約していたから、2度も自分を追い込むつもりは一切ない。ところが、参加者数をコンファームした際にケーキを注文すると、手遅れかも知れないと言われた。通常、土曜日に開催されるパーティーのケーキはその週の月曜日までに注文しないといけないとか。これには愕然となった。

 

そんなことは予約時に聞いていない。会場のカフェテリアで売られている「普段用」のケーキ類のように調理場のシェフが作るのだと思い込んでいたが、実はバースデーケーキは業者に外注しているのだという。業者といってもベーカリーやケーキ屋さんではなく、本業は外科医の女性なのだそうだ。驚きの発見にうろたえた。電話口の担当者は、その「業者」に今から注文しても土曜日のパーティーに間に合うか問い合わせてみると言う。「なんとかお願いしますっ!!!」と私は切羽詰まった声で訴えた。

 

ただでさえご指定の会場ではないという大きなハンデがあるのに、ケーキでさらに娘を落胆させるわけにはいかない。最悪の場合は近所のベーカリーかスーパーで出来合い品を購入ということになるだろうが、この辺のベーカリーやスーパーで販売されている既製のバースデーケーキは、人工着色料が大量に使用されていそうな派手な色のアイシング(しかも恐ろしいほど甘い)に覆われ、えげつない量の人工甘味料と保存剤が入っていそうなジャム系のフィリングがサンドされたかなり硬めスポンジケーキかチョコレートケーキが主流だ。父親同様チョコレートに目がない娘だが、不思議なことにチョコレートケーキは嫌がる。ロンドン市内なら、もっとナチュラルでヘルシーな原材料を使ったオシャレなケーキも見つかるだろうが、ここアスコット近辺でそのようなものを見かけたことはない。

 

ケーキが土曜日に間に合うかどうかは翌日に連絡するとのことだったので、私はすがるような思いでその日一日を過ごした。

 

続く