けりかの草子

ヨーロッパ在住歴24年、現在英国在住のバツイチ中年女がしたためる、語学、社会問題、子育て、自己発見、飲み食いレポートなど、よろずテーマの書きなぐり。

娘の4歳の誕生日〜パーティー編⑧ ー 注:これは今年6月に他のメディアに投稿した記事のリサイクル版

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写真が例のティアラ

 

 

夫も私も、例え土壇場で思いついたことでも実行に移さないと気が済まないタチである。この日も、パーティーの数時間前にあることを思いつき、そのアイデアを実現させるために奔走した。


イデアというのは次のようなものだ。以前から夫が参加する子供たちの保護者に海賊の帽子やアイパッチを配布して仮装してもらおうと提案していたが、保護者ではノリが悪いかも知れない。そこで、子供たちを対象にして、女の子はプリンセスティアラ(紙製)、男の子は海賊のバンダナとアイパッチを配ろうと思いついた。


こういう小道具は、最低でもイベントの1週間前には手配するのが常識であろう。しかし、思いついたのがイベント当日の朝。無謀極まるがやってみないと気が済まない私は、近所のパーティーグッズ専門店へ車を飛ばした。このパーティーグッズ専門店は、外から見るとオシャレなものは置いてなさそうな、ひなびた小さな店なので今まで中に入ったことはなかった。


だが、イベントまであと数時間という切羽詰まった状況では、他に選択肢はない。さすがのアマゾンプライムでも、注文して1時間後に配達は無理であろう。ありがたいことに、車で5分もかからない近所にこのパーティーグッズ専門店がある。中に入ってみると、意外にも4〜5人の客で賑わっていた。


早速お目当ての紙製ティアラと海賊バンダナ+アイパッチを探す。ところが、大人の怪しい系コスプレパーティーグッズばかりで、子供のパーティー用品と言えば、40ペンスでヘリウムを入れて膨らませるサービスも提供されている風船か、いかにも安物っぽいパーティーバッグ用のおもちゃだ。


この店は家族経営と思われるが、店内には物腰の柔らかい初老の女性と彼女の娘と思しき若い女性が注文していた風船を取りに来た客の対応に追われていた。少し待ってやっと落ち着いてきた時、この初老の女性に私が探しているもの伝えた。


初老の女性は少し戸惑ったような表情を見せ、紙製のティアラはないが、プラスチック製のものならあると、店の奥に案内してくれた。すると、レンタル用のコスチュームコーナーの入口に、羽根飾りがベースについたプラスチック製のティアラがいくつか引っ掛けられているボール紙製スタンドがあった。


子供たちにぴったりの大きさのようだが、果たして人数分あるのだろうか。娘のパーティーに参加する女の子は、娘本人を含めて8人。数えてみると、奇跡的にぴったり8個あるではないか!これは日頃の行いが良かった報いだろうか。お値段的にはかなり予算オーバーであったが代替品はないし、せっかくのアイデアを実現させずに諦めたくはない。そこで私は、他の客に取られてしまわないよう、8個のプラスチック製ティアラを抱え込んだ。


次に入手すべきものは、男の子用の海賊バンダナとアイパッチ。ところが、これは大人用しかなく、子供でも使えるのは、アメリカンインディアンの羽根つきヘッドバンド(注: 英語では差別語を避けるためか、Native American Feather Head Bandと表記されていたと思う)のみ。仕方がないので、これを人数分買うことにした。


とりあえず目的は果たしたので大急ぎで帰宅し、お昼ご飯の用意をした。パーティーは14時からだが、主催者である私たちは最低でも15分前には会場入りするように言われていた。だから早めにランチを済ますことにしていた。ランチの途中で会場から電話があり、近辺の主要道路が閉鎖されているために大渋滞が発生していると警告された。この辺の地理と道路に詳しい夫は早速おすすめルートを策定し、それを私が参加者の保護者にテキストメッセージで拡散した。


こうしているうちに私たちが家を出発すべき時間になった。約束通り夫が娘を説得し、私が計画していた衣装に着替えさせることに成功した。パーティーバッグやプラスチック製ティアラとアメリカンインディアンの羽根飾りなどの小道具を夫の車に積み込み、娘をシートに座らせてシートベルトをはめ、いざ家を出発した。


続く

娘の4歳の誕生日〜パーティー編⑦ ー 注:これは今年6月に他のメディアに投稿した記事のリサイクル版

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*写真は例の着古しソフィアドレス。この写真ではわかりにくいが、あちこち引き裂かれていて、染みや絵具もそこら中についている。2年前の誕生日プレゼントだった一品で、丈もずいぶんと短くなった

 

 

翌日になっても会場からケーキの連絡はなかった。この日は娘の誕生日だったので、私は公約を果たすために朝からキッチンでせわしなく作業をしていた。娘の4歳の誕生日〜ケーキ編で描写したように、ハプニング連発のストレスに満ちた半日であったため、こちらから電話をかけて確認する余裕はなかった。

 

万が一、パーティーのために再びケーキを自分で作るということになれば、この日のてんてこ舞いの体験はリハーサルであったと言えるかもしれない。だがやはり、あのレベルが高かった娘のお友達のパーティーで、これまたレベルの高い「お母さん手作りバースデーケーキ」を目撃してしまった私には、娘の晴れ舞台でみすぼらしい自家製ケーキを振る舞う勇気はなかった。

 

なぜだか覚えていないのだが、その翌日も会場との連絡は取れなかった。確認できたのはなんと、パーティー前日。ぎりぎりセーフで土曜日のケーキはOKとの朗報に、私は胸をなでおろした。「ディズニープリンセステーマのケーキですよね!」と念を押して受話器を置くと、早速この吉報をグラスゴーに出張中の夫にテキストメッセージで伝えた。このテキストメッセージは今でもスマホのメモリに残してあるが、その時の私の安堵と驚喜ぶりはメッセージに挿入された絵文字の種類と数が物語っている。

 

ケーキの問題は解決したので、私はパーティーバッグの最終確認をした。参加者数より少し多めに用意したつもりであったが、パーティーの10日前に参加をコンファームした子とその子の妹の分を数えるともうスペアがない状態になっていた。まあ人数分あるのだから大丈夫だろうと高を括り、追加注文はしていなかった。

 

そしてパーティーの当日の朝。普段より早く目を覚ました娘は、興奮気味で私たちを起こしに来た。「ねえねえ、今日は私のパーティーの日?」(注:英語)と目を輝かせて訊いてくる娘に「そうだよ!」(注:日本語)と答えると、「わ~~い!すっごいエキサイティング!」(英語)と大はしゃぎ。私たちのベッドの上で数回飛び跳ねると、自分の部屋へ飛んで行った。洋服ダンスを開ける音が聞こえてきたので様子を見に行くと、使い古してボロボロになった『ちいさなプリンセス ソフィア』のドレスを着ようとしているではないか。

 

「Aちゃん、それはもうボロボロだし、背が伸びて丈が短くなったから、違うドレス着ようよ。新しいソフィアのドレス、前に買ってあげたでしょ!」と私が日本語と諭すと、娘は「やだあ!」と日本語で答えてから、「こっちがいい!新しいのはまだ私には丈が長すぎるもん」と英語で反論した。しかし、こんなボロボロのみすぼらしいコスプレドレスでは、まるで魔法使いのおばあさんに出会う前のシンデレラではないか。お誕生日パーティーにこんな着古しのドレスを着せるなんて、なんてひどい親だと品格を疑われかねない。私は必死に娘を説得しようとしたが、本人は全く聞く耳なし。頑固なのは私譲りなのだろうか。

 

お手上げ状態で夫に助けを求めると、「今は好きなようにさせたら?会場に行く直前に着替えさせたらいいじゃん」と悟りに満ちた態度で返事をされた。そう言われてみればそうなのだが、私は数日前からこの日の娘の衣装を計画していた。数週間前までは、お誕生日パーティー用に晴れ着というか、可愛いパーティードレスを買ってやろうかなと考えていた。しかし、会場が屋内遊び場であり、子供たちは汗だくになるまで目一杯はしゃいで遊びまくるであろうから、それは適切ではないと判断した。

 

そこで私が勝手に決めた衣装は、一年前に近所のスーパーで見つけた『塔の上のラプンツェル』のドレス。これはコスプレドレスというよりは普段着っぽい一品で、スカート部分にチュールがあしらわれており、これが巨大滑り台で大当たりなのだ。これを着て滑り台を降りるともの凄くスピードが出るため、娘は屋内遊び場に行くときには喜んで着ている。かなり使い込んでいるが、まだまだ上々のコンディションだ。ジャングルジムをよじ登ってパンティが丸見えになってはいけないので、パーティーの1週間前に同色系のレギングを買った。ドレスそのものはライラック色(薄紫)であるため、コントラストを演出するダークパープルのレギングを選んでいた。その時には助太刀するからという夫の助言に従い、家を出る直前にこの衣装一式に着替えさせることにした。

 

続く

娘の4歳の誕生日〜パーティー編⑥ ー 注:これは今年6月に他のメディアに投稿した記事のリサイクル版

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*写真は近所のスーパーにも置いている既製品のケーキ

 

 

この娘のお友達のパーティーは実にレベルが高かった。かなりお高めのパーティー料金なのだろうと思っていたが、受付で入手したパーティープランのパンフレットを見ると、私たちの会場より1ポンド程度高いだけであった。恐れていた通り、娘はこの会場にすっかり魅せられ、自分のお誕生日会もここでしてくれとねだり出した。テーマ別のパーティールームのひとつがディズニープリンセスものであることもしっかりチェックしていた。わが娘ながら実に目ざとい。お友達のパーティーが終わって帰宅する車の中で、娘はこの会場で開く自分のパーティーの計画を延々と語った。

 

ディズニープリンセステーマのお誕生日パーティー」という点に関しては条件を満たしている。だが、会場はすでに行きつけの屋内遊び場に決まっていて、デポジットも払ってある。このデポジットはキャンセルしても戻ってこないし、招待状もすでに発行済みだ。がっかりさせたくはないが、今更会場変更などできない。「XXちゃんと同じとこで私のパーティーやるのよね!でもプリンセスルームよね!ケーキはプリンセスがいっぱいのっかってて、ピンクで真ん中に白雪姫が立ってるのがいい!お友達もみんなプリンセスのドレスを着るの!」(注:実際のセリフは英語)とはしゃぐ娘に、「さあ、どうかな?お楽しみに!」(注:私の返事は日本語)と誤魔化すしかなかった。

 

娘のパーティーの参加者数を正式にコンファームしたのは、イベントの4日前のことだった。会場から確認の電話がかかってきたのだ。最初に予約を入れてデポジットを払ったとき、ケーキも注文することができるとのことだったので、ずっとそのつもりにしていた。手作りケーキは誕生日の当日に焼いて保育園に持って行くと公約していたから、2度も自分を追い込むつもりは一切ない。ところが、参加者数をコンファームした際にケーキを注文すると、手遅れかも知れないと言われた。通常、土曜日に開催されるパーティーのケーキはその週の月曜日までに注文しないといけないとか。これには愕然となった。

 

そんなことは予約時に聞いていない。会場のカフェテリアで売られている「普段用」のケーキ類のように調理場のシェフが作るのだと思い込んでいたが、実はバースデーケーキは業者に外注しているのだという。業者といってもベーカリーやケーキ屋さんではなく、本業は外科医の女性なのだそうだ。驚きの発見にうろたえた。電話口の担当者は、その「業者」に今から注文しても土曜日のパーティーに間に合うか問い合わせてみると言う。「なんとかお願いしますっ!!!」と私は切羽詰まった声で訴えた。

 

ただでさえご指定の会場ではないという大きなハンデがあるのに、ケーキでさらに娘を落胆させるわけにはいかない。最悪の場合は近所のベーカリーかスーパーで出来合い品を購入ということになるだろうが、この辺のベーカリーやスーパーで販売されている既製のバースデーケーキは、人工着色料が大量に使用されていそうな派手な色のアイシング(しかも恐ろしいほど甘い)に覆われ、えげつない量の人工甘味料と保存剤が入っていそうなジャム系のフィリングがサンドされたかなり硬めスポンジケーキかチョコレートケーキが主流だ。父親同様チョコレートに目がない娘だが、不思議なことにチョコレートケーキは嫌がる。ロンドン市内なら、もっとナチュラルでヘルシーな原材料を使ったオシャレなケーキも見つかるだろうが、ここアスコット近辺でそのようなものを見かけたことはない。

 

ケーキが土曜日に間に合うかどうかは翌日に連絡するとのことだったので、私はすがるような思いでその日一日を過ごした。

 

続く

娘の4歳の誕生日〜パーティー編⑤ ー 注:これは今年6月に他のメディアに投稿した記事のリサイクル版

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*写真はこのグレードの高いお誕生日パーティーでの1シーン

 

エルサに誘導されて、私たち3人は娘のお友達のパーティーグループのために確保されている長テーブルへ向かった。娘はお友達を見つけると、大急ぎで靴を脱ぎ(ジャングルジムフレーム内は土足禁止)、わーッと歓声をあげてフレームの方へ駆けて行った。


夫と私はバースデーガールのお父さんを見つけると、招待してもらったお礼を述べた。バースデーガールがフレームから戻ってきたので娘を呼び戻し、プレゼントとカードを本人に手渡すように促した。


プレゼント進呈式が終わると、子供たちは一目散に再びプレイゾーンへ駆けて行った。それにしても、なんて大きな屋内遊び場だ。フレームそのものの大きさは私たちの会場より少し大きいぐらいだが、その周囲に様々なコーナーがある。座って足でこぐプラスチック製の車のコーナーには、パトカーや消防車、救急車、タクシーなどがある。娘は仲良し3人組とここで長いこと遊んでいた。フレーム内の大型滑り台も私たちの会場のものと同レベルだが、その横にはほぼ垂直と言える勾配の超高速滑り台もある。これには夫も興味をそそられたようで、はりきって試しに行った。


私は他のお友達のお母さんたちと、カフェオレを飲みながら世間話で盛り上がった。超高速滑り台のトライアルを無事に遂行した夫は、このどデカいプレイセンターを探索し、えらく感心した様子でその結果を報告しに来た。私たちが座っているプレイゾーンのカフェエリアの奥に、テーマ別のコスプレルームが6室ぐらいあるとのことなので、私も視察しに行ってみることにした。


すると確かに、プリンセスルームや海賊ルーム、病院ごっこルーム、キッチンごっこルーム、警察官&消防士ルームなどがあり、それぞれのテーマに沿ったコスチュームと小道具がかなりの数揃っている。さらに、これは6歳児以上が対象のようだが、Wiiっぽい全身駆動型ビデオゲームルームもある。凄い。至れり尽くせりだ。


気がつくと、娘と数名のお友達がプリンセスのコスプレに興じていた。男の子たちは自然と海賊ルームか警察官&消防士ルームに行く。親にそのように仕込まれたわけでもないのに、本能的に女の子と男の子では興味の対象が異なる。私たちも、娘が女の子だからといって、プリンス系やピンク色の衣服やおもちゃを勧めていた覚えはないのに、本人はプリンセスとピンクにどっぷりだ。


1時間15分ぐらい経つと、エルサとオーロラ姫が私たちのテーブルに戻ってきて、子供たちを集合させてくれと言った。広大な施設なので全員を集合させるのに少し時間がかかったが、皆が揃うと2階(日本式)のパーティールームへと誘導された。私たちのグループのパーティールームは、下の階から階段で上がって一番最初の部屋だった。


縦長の部屋には長テーブルと低いプラスチック製の椅子が設置されており、部屋中が『アナ雪』のテーマで装飾されている。バースデーガールの席は、雪の結晶が描かれた透明のプラスチック製の王座。紙製のお皿にも、壁紙にも、もどきではない本物のエルサとアナが描かれている。やはり女の子向けであるためか、クリストフやオラフの姿があまり見られない。天井を見上げると、白やシルバーの雪の結晶やクリスマスツリーのデコレーションのようなシルバーの玉があちこちからぶら下がっている。子供たちも保護者も感嘆の声をあげた。


さらによく見ると、部屋の奥にアナとエルサのコスチュームがずらっと衣装ハンガーラックに並んでいる。しかもこのハンガーラックは、4~5歳児の身長に合わせた高さだ。細かいところにまで気遣いが感じられる。子供たちに給仕された食事は、フライドチキン、ソーセージ、ハムサンドウィッチ、フライドポテトだった。給仕しているエルサとオーロラ姫を数名のお母さんたちが手伝い、子供たちに飲み物を与える。


暖かい食べ物の後はお菓子のサービス。カップケーキとビスケットが出てきた。そして本日の目玉商品のバースデーケーキ。ホワイトとターコイズ色のアイシングが施された大きな丸形のケーキの上に、プラスチック製のエルサのフィギュリンが載っている。これは、この業界で定評のあるBullylandというドイツのメーカー製のもので、娘も全くおなじエルサのフィギュリン以外にも数多くのディズニーキャラクターのフィギュリンを持っていて、お風呂の友になっている。このケーキはバースデーガールのお母さんが手作りしたそうだ。凄腕すぎる。夫と私は、2週間後に控えた娘のパーティーを思い、プレッシャーが全身にこみ上げてくるのを感じた。

 

続く

娘の4歳の誕生日〜パーティー編④ ー 注:これは今年6月に他のメディアに投稿した記事のリサイクル版

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*写真は私が利用したパーティーグッズ専門ネットショップから拝借。だが写真のものを注文した訳ではない。

 

子供の誕生日パーティーを計画するにあたって重要なのは、会場選びと招待する子供たちの人選、そして来てくれた子供たちに渡す「パーティーバッグ」なのだと夫に言われた。しかも、その中身でホストである一家の格式を判断されると言う。まるで結婚式の引き出物ではないか。高価すぎてもいけないし、安物ばかりでもいけない。もらって迷惑なくだらないおもちゃも避けるべき。キャンディーなどのお菓子も少し入れた方がいい。私は会場のパーティープランにパーティーバッグも含まれているからそれでいいのではと思っていたが、夫は中身を前もって確認し、場合によっては自分たちで選んだグッズを追加するべきだと主張した。


会場に問い合わせて確認すると、塗り絵やシール、工作セットとキャンディーとのことだった。夫が納得していないようだったので、パーティーグッズ専門のネットショップをチェックしてみることにした。日本では知らない人も多いかもしれないが、ウイリアム王子を射止めたあのケイト妃の両親は、パーティーグッズの通信販売ビジネスで富を築き上げた。起業する前は2人ともブリティッシュ・エアウェイズの社員だった。私は昔から、たかがパーティーグッズの通販でなんであんなに金持ちになれるのか不可解に感じていた。だが、こうして自分が子供のパーティーを企画する身になってみると、確かに需要がかなりあるということに気がついた。


だが、私はケイト妃の両親のファンではないので、彼らのネットショップはチェックしなかった。なかなかいい感じのネットショップを見つけたので、そこでパーティーバッグ用の品をいろいろと物色してみた。子供たちの年齢を考慮し、親の視点からも子供の視点からでもウケそうなものを見つけるのは簡単なことではない。自分なりにいいなと思ったものを選択し、念のために夫にも見せてOKを得てから注文した。


実は、娘のパーティーの2週間前に、大の仲良しのお友達のパーティーに招待されて行ってきた。この子の両親も、私たちと同じように屋内遊び場を会場に選んでいたが、そこは今まで私たちが行ったことのない場所だった。招待状には、「Frozen Kingdom」テーマのパーティーと書かれており、『アナ雪』を真似しているのが見え見えのキャラクターが描かれていた。私たちの会場より少し遠い。初めて行く場所だったので、事前にホームページをチェックしてみた。すると、私たちが住んでいるバークシャー州で最新かつ最大規模の屋内プレイ&パーティーセンターと誇らしげに書かれていた。しかも、テーマ別のパーティールームが8部屋もあるとか。これは凄い!


パーティーの当日、iPhoneのナビを使いながら会場へ向かった。到着したのはオフィスビルや倉庫が軒を並べるビジネスパーク。会場の看板を見つけて駐車場に入ると、目の前にはどデカいボックス型の建物が構えていた。入口ドアを開けて受付に入ると、後ろに広がる巨大な遊び場と、圧倒されるぐらいの数のテーブルと椅子が目に飛び込んできた。その日はお誕生日パーティーが4組ぐらいあり、それぞれの組に個別の受付エリアが設けられていた。各お誕生日パーティーにコスプレ姿のスタッフが2人配属されている。娘のお友達のパーティーは、『アナ雪』のエルサ姿のお姉さんと、『眠れる森の美女』のオーロラ姫姿のお姉さんが担当だった。


続く

娘の4歳の誕生日〜パーティー編③ ー 注:これは今年6月に他のメディアに投稿した記事のリサイクル版

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招待状

 

会場はおさえたので一安心。次は、どの子を招待するかの人選が重要なステップとなる。娘が特に仲良しにしている女の子3人は、躊躇することなくゲストリストに載せる。この子たち以外にどの子を招待すればいいのか。定員は15人(娘を含めて)と自分たちで決めている。あと11人をどう選ぶか。娘が赤ん坊のころからよく遊んでいるボーイフレンドのW君とその弟のO君は、あいにくその週末は都合が悪くて参加できないとのことだった。親しくお付き合いさせていただいているロンドンのある日本人一家には6歳の女の子と3歳の男の子がいて、娘と一緒に遊んでもらうことがよくある。この子たちももちろん招待しよう。するとあと9人。そこで、保育園の先生たちに相談することにした。

 

娘の組の担当の先生に、娘がよく遊んでいる子たちをリストアップして欲しいと頼んだ。すると、「うーん、難しいですね。ほぼ全員、どの子とも仲良く遊んでいますよ」との返事が返ってきた。そこをなんとか、娘と過ごす時間が多い子に絞ってもらい、女の子5人と男の子3人を指名してもらった。さらに、夫の仕事を通して知り合った弁護士の友人の2歳10カ月の息子も招待することにした。

 

招待する子供たちの名前をマイクロソフト・エクセルで作成したゲストリストに入力する。子供の名前の隣のカラム(列)は親の名前、その隣は参加の可否。出来上がったリストには娘を含めて16人の子供の名前が並んでいる。リストが完成したあとは招待状の準備。リストを見ながら、会場が提供してくれた招待状にそれぞれの子供の名前とパーティーの日時、返信先を手書きで書き込む。

 

以前から不思議に思っていたのだが、英国では返事が必要な招待状には、RSVPという表記がある。たいていの場合、このRSVPの後に連絡先を表記するのだが、このRSVPというのは実は、フランス語のRépondez S’il Vous Plaît (ご返事お願いします)を略したものなのだ。100年戦争などにも見られるように、英国とフランスは歴史的に敵対関係にあることが多かった。そして英国人にはどこか、大陸ヨーロッパを見下しているようなところが見受けられる。国境検査なしで国境を越えることを許可するシェンゲン協定にも、通貨統合にも参加せず、片足がすでに外に出ていた欧州連合も、昨年の国民投票で完全に離脱するBrexitが決まった。そんな英国でなぜ、フランス語の略語を招待状に使っているのだろうか。夫にその理由を聞いてみたが知らないと言われた。そこでググってみたが、RSVPの意味を説明するサイトはあっても、その理由や起源について解説しているサイトは見つからなかった。

 

書きあがった招待状を封筒に入れ、「From Wee A💖」と印刷された可愛らしいスティッカー(数年前のクリスマスカード用に作ってあったもの)を貼る。封筒の表にはもちろん宛先人の名前を書いてある。この封筒の束を保育園の先生に託し、招待している子供たちの保護者に手渡してもらうようにお願いした。学校とは違って保育園では、子供たちを送り迎えする時間が家庭によって違う。そのため、私も夫も、子供たちは結構よく知っていても、彼らの保護者と顔を合わせることがあまりない。私は娘が特に仲良くしている女の子2人のお母さんたちとは何度が立ち話をしたことがあるが、他の子たちの保護者はほとんど知らなかった。

 

招待の返信先として、夫婦共同のメールアドレスと私の携帯番号を記載しておいた。招待状を保育園に預けてから1週間以内に4人から返事が来た。みんな参加できるとのことだった。日本人ファミリーからはこれ以前に参加の返事をもらっている。パーティーの2週間前の時点で返事をしていない子(親の責任)は4人。返事の催促をすべきか迷ったが、「返事をしない=出席しない」と判断することにした。ところがパーティーの10日前になって、ゲストリストにX印をつけていた女の子のひとりのお父さんからテキストメッセージが届いた。イースター休暇でしばらく国外にいたため、今日初めて娘の招待状を見たのだという。丁寧なお詫び文で始まるメッセージには、もしまだ間に合うならその子も是非娘のパーティーに参加したいと書かれていた。さらに、もし可能であればその子の妹も連れて来ていいかと尋ねてきた。妹の入場料と食事代は自分たちで出すからと。もちろん私は、妹さんも含めて歓迎します、追加の入場料と食事代を出す必要はありませんと返事した。

 

このやりとりの後、その子の妹の名前を追加してゲストリストをアップデートした。その時点で参加者数は娘を含めて13人だった。私は別に13という数字に何の抵抗もないので、この人数で会場にコンファームすることにした。

 

続く

娘の4歳の誕生日〜パーティー編② ー 注:これは今年6月に他のメディアに投稿した記事のリサイクル版

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会場となった「屋内遊び場」

 

会場はかなり前から有力候補があった。自宅は最初から対象外。一度に5人以上の4歳児に自宅で対応する余裕は精神的にも物理的にもない。

 

娘は今年の9月から小学校に入学する(こちらでは正式な義務教育が始まるのは5歳からだが、4歳になった年の9月から小学校幼稚部といったような課程に進む)のだが、今通っている保育園で仲良しのお友達はみんな別々の学校に行くことになっている。だから今年のパーティーにはできるだけたくさんのお友達を招待してあげたい。そのためには広くて子どもたちが思う存分はしゃげる会場が必要だ。そこで、「保育園に行かない日」で天気が思わしくないときによく娘を連れて行く屋内遊び場に以前から目をつけていた。

 

この「屋内遊び場」と私が日本語で描写している場所は、英語では一般的にindoor soft play centreなどと呼ばれている。Soft playをカタカナ表記にしてググると、エッチ関係サイトのヒットが断然多い。だからカタカナ表記をやめて「遊び場」としているが、実際に日本ではどう呼ばれているのだろうか。

 

いろんなキーワードで検索してみると、「室内遊び場」や「キッズ向け大型屋内遊び場」、「屋内遊園地」などが出てきた。しかしよく見てみると、それは中国深センにある「大型屋内遊具」メーカーのウェブサイトだった。日本で実際にどう呼ばれているのか知っている人がいたら、是非教えて頂きたい。

 

私たちがよく行くところは「屋内遊園地」というほど立派なものではない。だが、巨大なジャングルジムのようなフレームにこれまた巨大な滑り台が4列ぐらい並んでいる。奥の方にはミニサッカー場兼バスケットボールコートもある。フレームは頭などを打ってもあまり痛くないように、スポンジのような柔らかい素材が巻きつけられている。だからソフトプレイと呼ぶのだろう。

 

ここの日本式2階はパーティールームになっている。調理室もあり、温かい軽食もオーダーできる。お誕生日パーティープランは3タイプあり(正式には4タイプだが、4つめは貸し切りプランなので私たちには対象外)、どれを選んでもまず75分間のお遊び時間と45分間のパーティールームでのパーティーという設定だ。お値段の違いはパーティーテーマの選択や招待状の提供、温かい食べ物サービスか冷たい食べ物サービスのオプションなどある。

 

私たちは、真ん中のお値段のプランでディズニープリンセスのテーマと温かい食べ物サービスを予約した。誕生日の当日は水曜日だったので、その週の土曜日に開催することにした。

 

続く